知っておきたいアンティーク家具用語:ルーパー

最近、日本の家に、ヨーロッパ的な雰囲気のアンティーク家具を飾ることが目立ってきました。本来なら、木造の家に西洋的家具はフィットしないように感じるのですが、実際に家具が置かれている光景を目にすると、一向に違和感がありません。日本の気候にマッチして、そして、何よりも日本人の鋭利な審美眼にも耐えうるアンティーク家具には、言い知れぬ存在感が漂っています。

たとえば、家具の一部に些細な傷があった場合、英国やフランスでは、それを歴史の味と見ますが、日本では明らかな欠陥と認識するのが一般的です。美意識の差はこのように大きいのです。

当然の話ですが、現代社会で、工場で大量生産されたチープな家具が、あと100年後の時代にはアンティーク家具になるのか、というと、決してそんなことはありません。マスプロにより工業製品として生産された家具は、どれだけの時間を経ても、アンティーク家具の称号は与えられないのです。それほど、アンティークには重さが秘められています。

アンティークで使われている素材は、実は、今の社会では入手できないものがたくさんあります。木材にしても、アンティークで使われているマホガニーと現代のマホガニーでは、木目が全く違っています。ですから、当時と同じマホガニーを用意したいと思っても、それはできません。ガラスやミラーも、現代の品とは成分も製造工程も違います。

ですから、全く同じものを作ろうとしても、それは無理な相談なのです。昔出ないと入手できなかったというのが、アンティークなのです。そういう側面も、アンティークが持っている大きな魅力です。一点ものであるというのが、アンティークの持つ大きな値打ちとなっています。

往時の家具には、ルーパーを使ったものが多数見られます。ルーパーとは、家具用の支え具の一種で、フラップを支える役目を果たしています。
使われ方としては、ビューロー本体に仕込まれた引出し式の角棒状になっており、普通はフラップ部分のすぐ下の引き出の両脇に仕込まれています。

フラップを開くと出てきて、その上に水平にフラップが置かれる形となります。ルーパーの一部には、フラップと連動していて、開くとルーパーもオートで出てくる仕組みのものもあります。雨戸にもよく使われていました。アンティークの好きな人の中には、古い雨戸のコレクターもいるほどです。年月が経って風雨にさらされ、剥げている箇所や汚れ、欠けなどがあっても、一種の美術品として鑑賞しています、